こんな人におすすめ
- 転職回数が多いから転職に迷っている
- 何回くらいまでなら印象が悪くならないかが気になる
- 転職理由がうまく伝えられない
「会社を辞めたい。でも、今の会社も転職だし、あまり回数が多いと不利になりそう」
「実際のところ、何回くらいまでなら印象が悪くならないのだろう?」
このように思っている人もいるのではないでしょうか。
たしかに、転職回数が多いと「またすぐに辞めるのではないか」と思われないか不安ですね。
企業としては長く働いてもらいたいので、すぐに辞めそうな人は採用されないでしょう。
しかし、転職理由が明確なら、回数はあまり気にする必要はありません。
この記事では、これまでに300人以上の面接を行ってきた元人事担当者の筆者が「転職回数が多くても印象が悪くならない伝え方」を、します。
最後まで読むことで、転職回数が多い人でも好印象になる答え方ができるようになるので、ぜひ参考にしてみてください。
回数が多くても転職しにくいとは言えない
従来の日本型雇用制度の中では、転職回数の多い人はマイナスのイメージを持たれていました。しかし、2021年の雇用制度改革もあり、近年は転職は珍しいことではなくなっています。
むしろ最近では、転職回数の多さは「経験豊富」と考えられていることも少なくありません。年齢にもよりますが、一般的な転職回数であれば、採用の合否には影響しないため気にしなくて構いません。
転職回数よりも「何ができるのか」や「転職の動機」の方が重要です。
これはどの世代においても共通で、しっかりとした理由があれば、経験値が高いと判断されるでしょう。
ただし、ある程度の目安を超えると影響します。
年齢によって許容範囲が変わりますので、詳しく解説します。
転職回数は世代によって考え方が異なる
人によって転職理由はさまざまです。新卒によくある理由としては、以下のようなものがあります。
- 仕事内容は自分にあっていたが、社風があわなかった。
- 思ったよりも力仕事が多く、体力的に厳しかった。
- 就活のとき、自己分析が甘かった
新卒採用は、このような企業研究不足から起こるミスマッチが多いのも特徴です。これが中高年になると家庭の事情や体調不良など、やむを得ない事情で退職する人も増えてきます。
たとえば「親の介護で働き方を変えざるを得なくなった」や「自身の病気」などです。
一般的に、転職回数は年齢と比較して多くなる傾向があります。
20代は2回まで
新卒採用は、中途採用に比べて採用コストがかかり、採用後も新人教育や研修などで時間も要します。その間、企業には生産性がありません。
さらに、新卒は社会人経験が未熟なため、業務以外の社会人としての基礎教育なども必要になります。
このような理由もあり、新卒は3年勤務してくれれば回収ができると考えられており、3年をひとつの区切りと考えている企業がほとんどです。
「第二新卒」と言う言葉があるように、新卒は「就活に失敗してしまった」ということがよくあるため、20代は2回までの転職回数ならほとんど気にしません。
しかし、3回以上になると「忍耐力がない人」というイメージを持たれる可能性があります。
筆者も、20代で3回以上の転職経験がある就職希望者には
必ず動機を確認していました。
3年経たずに2回目の会社も辞めている場合は、「やめ癖がついているのではないか?」と判断される可能性があります。
とくに、勤務期間が1年未満で退職している場合は、イメージが良くありません。
30代は3回まで
30代になるとステップアップのために転職を考えている人が多く、専門的な知識も豊富で、即戦力と考えられている場合がほとんどです。
そのため、スキルや経験があれば転職回数はそれほど関係ありません。責任のある立場での活躍を期待されるケースも多く、企業によっては意図的に狙ってこの世代を採用することもあります。
経験者を採用するときは、自社の経営戦略や営業方針にマッチする人材で、かつ「給与に見合った働きができるかどうか」が大きな判断材料です。
つまり「何ができるのか」「どういった経験をしてきたのか」といった経験値が優先となります。
「転職回数=経験値」と捉えるので、知識や経験が大きな要素です。
そのため、経験のある業界への転職であれば有利になります。
たとえば、場合によっては、上司が自分より年下の場合もあるでしょう。
プライドが高く、年下の従業員とうまくコミュニケーションができないことや、企業文化に馴染めずに辞めてしまう例も少なくありません。
ただし、転職回数が4回以上だと多い印象を与えます。あまりにも短いスパンで転職を繰り返している場合は、何か問題があると考えられることも多いでしょう。
転職回数が多い人は、次のように捉えられがちです。
- 「経験値が低い」
- 「飽きっぽい」
- 「人間関係も充分に構築できないのではないか」
4回以上の転職経験がある人は「なぜ転職したいのか」や「これまでの転職理由」が重要視されます。
結婚して家庭を持っている人も多く、転勤を命じられても子供のことを考えて転勤を断り、退職を選んだなどのケースがあるのもこの世代の特徴です。転職回数が多くても、次のような場合は不利とはならないでしょう。
- 過去の経験が新しい会社で十分に活かせる
- 特殊な能力を持っている
- 転職理由がやむを得ないと判断される理由である
また、プライドの高い人が多いのもこの年代の特徴です。自分とは違う価値観を受け入れ、新しい環境に馴染める人物であるかも重要な判断ポイントとなります。
たとえば、プライドが高すぎて自分より年下の上司とうまくコミュニケーションが取れないことや、世代のギャップに悩んで辞めていく人も少なくありません。
年齢が上がって転職を考えるなら、上司や周りの従業員が年下の可能性もあることは念頭に入れておき、上手に付き合うことが重要です。
40代は回数よりも経験を重視
40代は、20代や30代と比較してさらに転職回数が増える傾向にあります。この世代になると管理職の経験者も多く、業界に精通した知識やこれまでの人脈がプラスになると考えられています。
40代の転職は、転職回数よりスキルやキャリアに注目している企業が多く、重要になるのは転職回数よりも経験や実績です。会社の核となるポジションで採用する場合がほとんどで、他社から引き抜くというケースも少なくありません。
一般社員としての採用は、ほぼありません
面接も、二次で役員面接が行われることもあります。このクラスの採用は経営を左右することもあるため、失敗は許されないのです。
したがって、スキルやマネジメント力、過去の実績が重視されます。
過去の実績=会社への貢献度と捉えているため、転職回数が多くても「優勝請負人」的な理由なら全く問題にしません。
入社後、すぐに部下がつくこともあるので、マネジメント経験は必須です。
転職回数が多いデメリット
転職回数の多さは、転職のしにくさには直結しませんが、それでもいくつかのデメリットがあるのも事実です。ここでは、デメリットについて解説します。
担当者にマイナスイメージを持たれる
転職回数が多い人は以下のようなイメージを持たれがちです。
- プライドが高い
- ネガティブ思考
- 辞めぐせがついている
このような印象を与えないためにも、面接官が納得するだけの転職理由が重要となります。
退職金が少なくなる
在籍していた企業に退職制度があれば、勤続年数に応じて退職金が支給されます。一般的に、退職金は最低でも3年間勤務しないと権利がなく、3年以上勤務したとしても自己都合で退職した場合は少なくなります。
したがって転職を繰り返していると、転職せず同じ会社に長く勤務し続けた人と比べると、大幅にもらえる額が少なくなるので注意が必要です。
余計な出費が増える
転職活動をするのにも、少なからず経費がかかります。
最近では、Web面接も増えてきており、面接のための会社訪問は減ってきましたが、対面での面接を行う企業も少なくありません。しかし、面接のための交通費は支給しない企業がほとんどです。
失業保険を受給するためには、月に1度ハローワークに通う必要があります。
そのほか、履歴書の郵送や証明写真など、何かとお金がかかるので注意しておきましょう。
転職回数が多いメリット
ここまでデメリットについて解説してきましたが、転職回数の多さは「経験値」と捉えてもらうことでメリットに変えることができます。
転職回数は「経験豊富」の証し
転職を繰り返している場合は、複数の会社を経験していることから、1社しか経験のない人より多くのことを吸収している可能性があります。
たとえ職種につながりがなくても、ビジネスを通じで学んだ経験や、知識などは他業界でも活かせるものが多いので有利になることも少なくありません。
これは、転職するにあたって大きな強みです。
人間関係の適用力は確実に上がっている
これまでの転職で、今までとは違う社風や業務を行う中、知らない上司や同僚とイチから関係を築き上げてきたはずです。これらの経験で、あなたの対人コミュニケーション力や適用力は、確実に上がっています。
これは、転職経験が豊富な人にしかできない経験です。
転職回数が多い場合の転職理由の答え方
転職回数が多いデメリットを、面接でイメージを払拭することは、十分に可能です。
まずは、自分がこれまでに経験してきた仕事と、なぜ辞めたのかを一度整理してみましょう。整理した上で、以下に紹介する考え方でキャリアを伝えれば、退職理由に説得力がでます。
キャリアの一貫性を伝える
一般的に4~5回以上転職を繰り返している人は「転職が多い」というイメージを持たれます。
ただし、転職理由がはっきりしていて、キャリアに一貫性があれば、転職回数が多くても企業に良い印象を与えることは可能です。
一貫性のあるキャリアとは、同じ業界や業種で今まで働いてきたことだと思われがちですが、バラバラでも構いません。「業界は違うがずっと営業畑でやってきた」「どこに行ってもこういう接客を心がけていた」なども立派な一貫性です。
自信を持って、自分のキャリアを伝えましょう。
前向きなアピールは好印象
- 「今までの経験があるからこそ、そこから見えてきたこと」
- 「多くの会社を経験して、どんな状況にも対応できる能力が身につい
- 「この会社で、こういうことをしたい」
このような、前向きなアピールは好印象を与えます。
一方で、「プライベートの時間を増やしたい」や「やりたいことが見つかった」などの理由だと、「うちの会社もすぐに辞めてしまうのでは」と思われてしまいます。
待遇の悪さや人間関係を理由にする場合にも注意が必要ですよ。
ネガティブな印象だけを与えてしまうと、不安だけ残す形になってしまいます。面接官は前向きに感じられないと、「また、すぐにやめてしまう」という印象を与えてしまうでしょう。
転職の目的や一貫性がしっかりしていて、ポジティブな理由であれば、マイナスイメージは払拭できます。
ポジティブな転職理由の考え方がわからない人は、転職エージェントに登録して教わるのもひとつの方法です。
業界や業種によっては転職回数は問われない
転職回数をあまり気にされることがない業界・業種も存在します。
たとえば他の業種と比べ、転職者が多いことや職場を変えることで技術が上がっていく職種であることが理由です。
たとえば、筆者がいたホテル業界などは
転職回数は不利になりくいとされています。
あまり転職回数を気にされない業種は次のようなものです。
運転士:バス・電車・タクシー・トラックなど
保安業:警備員・監視員など
生産工程:工場での製造・組み立てなど
接客業:ホテル・レストラン・居酒屋など
技術職:美容師・調理師など
まとめ
転職回数が多いからといって転職しにくいとは一概には言えません。むしろ大事なのは、伝え方と転職に対する姿勢です。転職回数が多い場合は、自身のキャリアアップや成長のためといった、ポジティブな理由を企業へしっかり伝えることが大事です。
「転職を繰り返す中で成長できた」
「ここで働いたら、これだけの貢献ができる」
この2つがしっかりとアピールできれば、さほど転職回数は影響しません。自分が持っている魅力や、再就職への熱意をしっかり伝えましょう。
一般的に不利だと思われている転職回数の多さも、考え方を変えれば「強み」になるので、前向きに変換して伝えることで経験に変わります。
転職回数が多い人は、本記事を参考にぜひ自分の転職回数をキャリアに変えてみてください。
必ず、転職は成功します。
退職理由を上手に伝える方法も参考にしてください。
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