「人事はきついからやめとけ」と言われるのを聞いたことがある人も多いと思います。
その背景にはどのような理由があるのでしょうか?
確かに人事はつらい面もありますが、やりがいも大きい素晴らしい仕事です。
この記事では、人事糸筋で30年働いてきた筆者が、表には出てこない人事のリアルな実情を包み隠さず公開します。
筆者が試行錯誤の末にたどり着いた、辞めたくならないための対処法も紹介します。
最後まで読めば、自信を持って人事の仕事を始められるでしょう。
人事への転職を検討している人は、ぜひ読んでみてください。
人事はやめとけと言われる理由5選
人事はやめとけと言われることが多い仕事です。
筆者が30年間、人事に携わってきた経験をもとに「やめとけ」と言われる理由を解説します。
主な理由は以下の5つです。
- 苦情処理が多い
- 社内恋愛は御法度
- 仕事が評価されにくい
- 会社の味方だと思われる
- 従業員から不満を言われる
ひとつずつ見ていきましょう。
1. 苦情処理が多い
人事は職場内のトラブルやハラスメント、労働条件に関する不満など多くの苦情に対応しなければなりません。
これらの問題は、感情的な対立を生むこともあり、ストレスがたまる原因となるのです。
正直、面倒くさいと感じることもあります。
できれば、引き受けたくないのが本音です。
苦情が発生するたびに関係者全員の意見を聞かねばならず、精神的な疲労が蓄積しやすい仕事です。
2. 社内恋愛は御法度
人事担当者は、職場内での公正さや信頼を保つために、個人的な関係に対しても厳しい視線を向けられます。
とくに社内恋愛は「評価に感情が入ったり、個人情報を漏らしたりする可能性がある」といった観点から避けるべきとされています。
公私混同を避けるために、自由に恋愛できない制約があり「やめとけ」と言う人も少なくありません。
恋愛に限らず、他部署の同僚と食事に行っただけでも「情報をもらしているのではないか」と疑われることがあります。
3. 努力しても評価されにくい
人事は企業の裏方としての役割が強いため、営業や販売職のように数値で成果を示すのが難しく、結果として「自分の努力が評価されていない」と感じることが多いです。
従業員の満足度や社内環境の改善といった成果は、すぐに目に見える形では表れません。
また「自分の仕事が組織にどれだけ貢献しているか」をアピールする機会も限られています。
努力が評価に反映されにくいことも「やめとけ」と言われる要因のひとつです。
4. 従業員の敵だと思われる
人事担当者は、経営陣の決定事項を代弁する役割を担うため、「従業員の敵」と見られることが少なくありません。
他部署の従業員と信頼関係を築くのが難しいことも、やめとけと言われる理由のひとつです。
人事は一般社員と仲が良くないケースはよくあります。
そのため、孤独を感じてしまう人もいるでしょう。
5. 人事評価の不満を言われる
人事担当者は、従業員からの不満や意見を直接受ける立場にあります。
たとえば、給与や昇進を左右する人事評価の不満です。
「結局、どっちの味方なの?」と言われることもあります。
不満を持つ従業員とのコミュニケーションが多くなると、業務が煩雑になり精神的な負担が増えることも少なくありません。
筆者は追い詰められて、うつ病になってしまった同僚をたくさん見てきました。
無理をせず早めに退職するのも現実的な選択です。
以下の記事では、円満な退職のしかたについて解説しています。
参考にしてみてください。
成果が出ず自己嫌悪に陥りやすい
人事は従業員の採用から育成、評価までを常に行う役割を担っています。
経営陣からのプレッシャーや、即効性のある結果を求められることも少なくありません。
しかし、人材育成は短期間で成果を出すのが難しく、長期的な視点で見る必要があります。
とくに中小企業では、限られた予算で人材育成を行わなければならないことも多く、期待通りの成果が得られないこともあるでしょう。
このように、採用した人材が思うように育たず、自己嫌悪に陥ることがあります。
会社からはできるだけ早く育ててくれと言われますが、現実にはそうはいきません。
研修の効果が見えずに悩みやすい
研修や教育に多くの力を注いでも、期待通りの成長が見られないことや、社員のモチベーションが低いと感じることがあります。
人事は最善を尽くしたつもりでも、従業員が受け身の姿勢だったり、重要性を理解していなかったりするケースもあるでしょう。
また、講師の質が低いなど、内容に満足してもらえないことも少なくありません。
このように、研修の成果が見えにくく、時間や労力をかけた割に効果が薄いと悩む人もいます。
必ずしも、あなただけの問題ではありません。
労働関連の勉強が必須で負担になる
人事担当者は、労働法や社会保険制度など、幅広い労働関連の知識が求められます。
これらの法律は頻繁に改正されるため、常に最新の情報を把握し続けなければなりません。
特に中小企業の人事担当者は、他の業務と並行してこれらの知識を習得しなければならないため、学習時間の確保も大きな課題です。
労働関連の知識が不足すると、労働トラブルや法令違反のリスクが高まり、企業の信頼を損なう可能性があります。
人事担当者は常に最新の法令遵守を継続し、知識の習得に努める必要があります。
このような負担も「やめとけ」と言われる理由のひとつです。
人事は、他の部門に比べて覚えることが多いのも特徴です。
評価に対して従業員から不満を言われる
人事担当者は、社員の評価を公平に行う必要があります。
しかし、全員が納得する人事評価は難しいのです。
実際には、評価者の主観が入ることや、評価者による解釈の違いが結果に反映されることも少なくありません。
また、従業員にはそれぞれ異なる期待や目標があります。
そのため「ひとつの基準で評価すると、もう片方には当てはまらない」など、すべての人を満足させることは難しいのです。
人事の結果に納得がいかない場合、従業員から人事部に苦情が寄せられることはよくあります。
評価の基準や手法には多くの人事担当者が悩んでおり、このプレッシャーも大きなストレスとなります。
「あの人よりも、自分のほうが頑張っているのにどうして?」といった不満は、よくあります。
情報を扱う心理的負担が大きい
人事担当者は社員の給与情報を扱うため、全従業員の給与額を見れます。
これは一見すると特権のように思えますが、実際には心理的な負担になることもあるのです。
たとえば、同じ役職や仕事内容にもかかわらず給与に差がある場合、その従業員に対し複雑な感情をもつ人も少なくありません。
また、給与情報が漏洩した場合、企業の信頼を損なうだけでなく、法的な問題に発展するリスクもあります。
このようなことも「やめとけ」と言われる原因です。
同期の収入が自分より高いことを知って、ショックを受けることもあります。
やめとけと言われても人事の仕事をするメリット7選
人事は責任が重い仕事できついことも多いですが、一方で他の仕事になはい多くのメリットがあります。
人事のメリットは以下の7つです。
- 従業員の成長を感じられる
- 改革の中心になれる
- 周りから優秀だと思われる
- 多くの業務に携われる
- 組織全体の動きを把握できる
- キャリアアップの機会が得られる
- 専門性を高められる
それぞれ見ていきましょう。
従業員の成長を感じられる
人事の仕事の大きな魅力は、従業員の成長を間近で感じられる点です。
人事は従業員の採用から育成、評価に至るまで一貫して担当するため、入社時から成長していく過程を間近で見守れます。
自分か採用した従業員が成長していく過程を見られるのは、人事ならではのやりがいです。
このような経験は、他の職種では得られないでしょう。
また、従業員が成長するための施策を考えて実行するのも人事の重要な役割です。
こうした施策が実を結び、従業員が成長する姿を見届けられるのも人事の魅力と言えるでしょう。
「指導のおかげで成長できました」と言われることが、人事として一番うれしい瞬間です。
改革の中心になれる
人事部門は組織改革の中心的な役割を担います。
課題を発見し解決策を提案するなど、組織の活性化や生産性向上に貢献できる点は大きな魅力です。
たとえば、新しい評価制度の導入や、働き方改革の推進など、会社全体に影響を与えるような大きなプロジェクトに関われます。
場合によっては、組織の方向性を変える重要な役割を果たせるのです。
改革を成功させるためには、他の部署と連携し全社的な協力を得る必要があるため、リーダーシップやコミュニケーション能力も磨かれるでしょう。
このように、組織を良くするための役割を担えることは、達成感とやりがいを感じる大きなメリットです。
経営に近いところで働ける、人事ならではのメリットです。
周りから優秀だと思われる
人事は他の社員から優秀だと思われています。
採用や評価、教育など会社の根幹を支える重要な業務を担当しているため、人事は専門性が高く、高い能力が求められる職種だからです。
たとえば、優れた人材を見つけ出し、適材適所に配置する能力は社内外から高く評価されます。
また、人事は労働法などのコンプライアンスに精通しているため「法律や規則に詳しい専門家」としての一面も不可欠です。
周りから優秀だと思われる分、プレッシャーや責任感を持って業務に臨む必要がありますが、モチベーションの源泉にもなります。
だからと言って、上から目線で従業員を見るのはよくありません。
多くの業務に携われる
人事は採用から労務管理、評価制度の運用など多くの業務に携われます。
ひとつの業務に特化するのではなく、幅広い経験を積めるのが大きな特徴です。
組織全体の運営に深く関わるため、非常に幅広いスキルと知識を習得できます。
たとえば、採用活動では「面接スキルや交渉力」、研修では「企画力やプレゼンテーション能力」が身につきます。
キャリアの幅が広がれば、他の職種に転職する際も有利です。
経営に結びつく業務が多いので、人事経験はどの企業でも重宝されます。
組織全体の動きを把握できる
人事は組織全体の動きを把握する立場です。
各部署の人員配置や業務の進捗状況を把握し、適切な人材配置を行い組織の効率化を図ることが求められます。
このため、会社全体のビジョンや戦略にもとづいて行動しなければなりません。
また、経営陣と直接コミュニケーションを取る機会も多いため、経営視点を持ちながら仕事を進められます。
会社全体の動きを把握できるのは、人事職ならではの醍醐味と言えるでしょう。
とくに、経営者の考えを理解できるのは勉強になります。
なかなか、このような機会はないでしょう。
キャリアアップの機会が得られる
人事の仕事を通じて、キャリアアップの機会を得られます。
人事は会社全体の運営に関わるため、広範な知識とスキルが必要です。
つまり、他の職種に比べて多くの経験を積めるため、キャリアアップの道が開けます。
また、人事の経験を活かして、コンサルタントや研修講師などの専門職に転身することも可能です。
このように、将来の選択肢が広がる点は人事職のメリットと言えるでしょう。
企業の役員は、人事出身者の人が多いのも特徴です。
専門性を高められる
人事は専門性を高められる職種です。
採用や労務管理、評価制度の構築など各分野で深い知識とスキルが求められます。
とくに労働法や社会保険、給与計算などの専門知識は、他の職種ではなかなか身につけられないスキルです。
身につけた人事の専門性を活かして、講師としてセミナーや研修もできるでしょう。
このように、人事で習得したスキルは他の職種や業界でも高く評価されることが多く、キャリアの選択肢が広がります。
人事は、人材戦略の専門家です。
他の部門では経験できないでしょう。
経験者が教える!人事を辞めずに続けるための対処法5選
どうしても人事の仕事を辞めたくなったら、すぐに辞めることはせず、一旦、以下の方法を試してみましょう。
対処法は以下の通りです。
- 仕事の流れを見直す
- 辞めたい理由を具体化する
- 誰かに相談する
- 休暇取得で休む
- 転職する
詳しく解説します。
仕事の流れを見直す
やることが多すぎてうまくいかない時は、業務の流れを見直すことが大切です。
業務の優先順位をつけたり、無駄な作業を減らしたりすれば仕事を効率化できます。
たとえば、日々のルーティンワークや定期的な会議スケジュールの見直しで、無駄な時間を削減可能です。
また、タスク管理ツールを活用すると進行状況を可視化しやすくなり、ストレスを軽減できます。
業務の一部をアウトソーシングするのも負担の軽減に有効です。
このように、仕事の流れを見直せば効率的な働き方ができるためストレスを軽減できるでしょう。
流れを見直せば、かなり楽になります。
自分で抱え込まず、協力してもらうことも大事です。
辞めたい理由を具体化する
人事を辞めたいと感じたら、まず理由を具体化しましょう。
理由が漠然としていると対処が難しくなるためです。
たとえば「上司とのコミュニケーションがうまくいかない」「業務量が多すぎる」など、具体的な理由をリストアップしてみましょう。
何が自分をストレスに感じさせているのかを明確にすれば、適切な対策が見えてきます。
また、辞めたい理由をリストアップすると、キャリアプランを見直す機会にもなります。
具体化してみると「辞めなくてもよいことだった」といったケースも少なくありません。
誰かに相談する
人事職の悩みを一人で抱え込まず、相談することをおすすめします。
同僚や上司、または信頼できる友人や家族に話を聞いてもらうことで、視点が広がり、新たな解決策が見つかるケースも少なくありません。
とくに、同じ人事部門の同僚なら共感を得られやすく、具体的なアドバイスをもらえるでしょう。
もし、社内にメンタルヘルスの相談窓口があれば利用してみてください。
外部のカウンセラーへの相談もよいでしょう。
相談することで精神的な負担を軽減し、冷静に状況を見つめ直せます。
社内に相談しにくい場合は、人事が集まるコミュニティーなどがおすすめです。
休暇取得で休む
仕事に疲れを感じたら、休暇を取得して休むことも有効です。
休暇中は仕事を忘れ、リラックスして過ごすことを心掛けましょう。
適度な休息は心身のリフレッシュにつながり、新たな視点で仕事に取り組む活力を与えてくれます。
また、仕事から離れて心身をリフレッシュすることで、気持ちが変わるかもしれません。
労働法でも休暇取得は認められているので、必要に応じて心身の健康を保つために利用しましょう。
また、リモートワークの導入やフレックスタイム制の活用など、柔軟な働き方を検討することも有効です。
ワークライフバランスが取れる働き方を見つけることが大事です。
転職も考えてみる
どうしても人事職を続けるのが難しいと感じた時は、転職も選択肢のひとつです。
新たな環境での挑戦は、成長につながる可能性があります。
転職を考える際にはまず自分のスキルや経験を見直し、どのように活かせるかを考えましょう。
そのためには、転職エージェントの利用がおすすめです。
転職エージェントを利用すれば、自分に適した求人情報を効率的に収集できます。
転職先の雰囲気や求めている人物像も教えてもらえるので、ミスマッチが少なくなるのも転職エージェントの特徴です。
転職エージェントは無料で利用できます。
辞めたくなったら転職エージェントに相談してみるのもアリ
転職エージェントの利用には、多くのメリットがあります。
上手に利用すれば、効率よく転職できるので積極的に利用しましょう。
転職エージェントには以下のメリットがあります。
- 自分にあった求人を紹介してくれる
- 応募書類の書き方をアドバイスしてくれる
- 面接対策をしてくれる
- 年収交渉をしてくれる
- 無料で利用できる
それぞれ見ていきましょう。
自分にあった求人を紹介してくれる
転職エージェントを利用する最大のメリットは、自分にぴったりの求人を紹介してくれる点です。
エージェントは求職者の経歴やスキル、希望条件を詳細にヒアリングした上で、最適な求人を提案します。
そのため、自分で求人を探す手間や時間を大幅に削減可能です。
また、エージェントは企業内部の情報や雰囲気、職場環境などの情報も持っています。
これらの情報は、自分で転職活動をしても、なかなか入手できません。
気になる企業の情報は応募前に教えてもらえるため、就職後のミスマッチが防げます。
さらに、一般には公開されていない非公開求人も扱っているので、さっそく登録して見せてもらいましょう。
何が向いているかわからない人は、適職診断を受けてみてください。
応募書類の書き方をアドバイスしてくれる
転職エージェントは、履歴書や職務経歴書といった応募書類の書き方についてもアドバイスを受けられるのが特徴です。
アドバイザーは普段から企業の採用担当者と話しているので、どのような応募書類が評価されるかを熟知しています。
あなたの経験を最大限にアピールできる書き方を指導してくれるのです。
また、企業が好む書き方や注意点も教えてくれるため、書類選考での通過率が向上します。
書き方に自信がない人や転職活動が初めての人にとっては、非常に心強いサポートです。
このように、転職エージェントのアドバイスを受ければ、応募書類の質が大幅に向上します。
添削サービスを受けると、見違える応募書類になります。
これだけでも、利用する価値があります。
面接対策をしてくれる
転職エージェントは、手厚い面接対策をしてくれるのも特徴です。
企業の面接スタイルや質問傾向を熟知しているため、具体的なアドバイスをもらえます。
よく聞かれる質問や回答のポイント、企業が重視する強みなどがわかれば対策が可能です。
また、模擬面接も行ってもらえるので、緊張感を和らげられ自信がつきます。
さらに、面接後のフィードバックで弱点を克服すれば、次の面接に活かせるでしょう。
面接は「慣れ」が重要です。
なかなか、家族や友人には頼みにくい人も多いです。
年収交渉をしてくれる
転職活動において、年収交渉は非常に重要なポイントです。
しかし、自分で交渉するのは難しいと感じる方も多いでしょう。
転職エージェントはあなたの経験やスキル、市場価値を踏まえた上で企業と年収交渉を行ってくれます。
企業との信頼関係を築いているため、直接交渉によって有利な条件を引き出せるのです。
このように、転職エージェントの利用は、年収交渉においても大きなメリットを受けられます。
実際に、自分で交渉できるケースは少ないです。
無料で利用できる
転職エージェントのサービスは無料で利用できます。
エージェントが企業からの紹介手数料で運営されているため、求職者は費用をかけずに質の高いサポートを受けられる仕組みです。
転職エージェントにはそれぞれ得意分野があります。
たとえば、特定の業界に強いエージェントや地域に強い、年代に特化しているなどです。
あなたの条件に合わせて複数に登録してみてください。
複数の転職エージェントに登録しても問題ありません。
会社によって得意不得意があるので、複数に登録して紹介を受けましょう。2〜3社くらいがおすすめです。
多すぎてどの転職エージェントを利用すればよいかわからない人は「転職エージェントナビ」がおすすめです。
自分に合った、転職エージェントが簡単に見つけられます。
まとめ
人事の仕事は多くのストレスが伴う職種です。
そのため「やめとけ」と言う人も少なくありません。
しかし、人事にはメリットも多く、組織の改革の中心となる大きなやりがいがあります。
辞めたくなった時は誰かに相談したり、思い切って休んでみることも重要です。
それでも辞めたい気持ちが変わらなければ、転職エージェントを活用して、プロのサポートを受けましょう。
自分に合った求人の紹介はもちろん、徹底したサポートであなたの転職を成功に導いてくれます。
コメント